大きささえ許容できれば相当に良いラジオ　TRYX2000

BCLラジオ御三家の一台と言われている東芝のヒット作。とはいえクーガー2200やスカイセンサー5900に比べれば販売台数は1/5から1/10程度だったのではないでしょうか。今回此方で取り扱うのは初めてで小生も初めて手にしましたが、兎も角大きい。大きなラジオと言うとサンヨーのDJ5000(2ウェイスピーカー)、クーガ8(16cmスピーカーの別名吠えろクーガ)辺りを思い浮かべますが、其れ等よりも優に2割方は大きい。東芝のBCLラジオというと、サウンド750、TRYX1500,1600と機能の割には比較的小型で扱い易い印象があったので、このモデルを手にした時は少なからず驚き、当惑しました。中身は割とガラガラで、重さもそれ程では無い、スピーカーも口径は12cmある物の、この大きさの説明にはなりません。クーガ2200、スカイセンサー5900に較べるとデザインも野暮ったい。まあ、これは先行した2台が際立って良いデザインであったので已むを得ない部分は有ります。それでも基本的な操作部分を全面パネルに集中し、分かりやすくレイアウトされている事、メーターとサブのダイヤルスケールのついたチューニング周りはとてもメカニカルで魅力的である事など、このモデル単体として見れば良く纏まったデザインだと思います。もう一つこのラジオの長所は伸び伸びと屈託の無い音でしょうか。クーガ、ソニーの様にアクセントを付けて明瞭な音でユーザーに訴えるのでは無く、あくまで自然に無理のない音として聴き続けられるというのは非常な長所です。勿論、音量、レンジ共にポータブルのラジオとして全く不足は有りません。この個体は電源が入らないジャンクでしたが、これは電池金具の錆による物でした。全体的に汚れて、ボリューム類のガリも有りましたが調整済です。唯一IFゲインに若干のガリが残っています。本格的な整備には前面パネルを外す必要が有りましたが、構造が判らず、背面パネルを外しての整備のみです。アンテナは先端がなくなっており、適当なネジを埋めています。曲がりや折れはありません。5バンド快適に受信します。内外ともクリーニング、接点復活、サビ落とし等一通りの整備はしていますが、前面パネルが外せなかった部分が不足です。電池、ACでの動作は確認済み。クリスタルマーカーの動作が分かりませんでした。電池、ACコード付。